大阪証券取引所では、2000年10月30日より上記CMEの開発した SPAN (The Standard Portfolio Analysis of Risk)という証拠金計算方法が採用されている。証券会社では、このSPANのうちの「プライス・スキャンレンジ」という指標を用いて、以下の計算式で必要最低証拠金を計算することが多い。

必要最低証拠金 = プライス・スキャンレンジ×1.2×(買い玉数-売り玉数)の絶対値-含み損益

プライス・スキャンレンジは、指数の終値の対前日の増減値(絶対値)のうち、(1)過去4週間のうち最も変動した値、(2)過去24週間のうち上位2番目に変動した値、のうちの大きい方を30の倍数に切り上げ、それを1,000倍したものである。プライス・スキャンレンジは大阪証券取引所から毎週発表される。

たとえば2007年の初めでは、(1)が234.16、(2)が408であったので、プライス・スキャンレンジは408を420に切り上げて千倍した42万円となる。この時、買玉1枚、売玉3枚を建てており、含み損が20万円とすると、一般的な証券会社の必要最低証拠金は、

42万×1.2×|1-3|-(-20万)=120万8千円

である。逆に含み益が20万円の場合は、80万8千円である。

含み損が拡大するなどして、値洗い後の必要最低証拠金が口座に入金されている金額を上回ってしまうと、「追証」(おいしょう)という追加の証拠金が必要になる。定められた期限(通常、翌営業日の前場終了)までに追証の入金がない場合は、全建玉が(通常、翌営業日の後場寄り付きで)強制決済される。

なお、オプションと組み合わせてポジションを組んでいる場合は、先物とオプションを合わせたポートフォリオ全体の持つリスクに応じて必要最低証拠金が計算されることが多い。その場合の計算は非常に複雑になるため、本稿では割愛する。