日経225先物取引のリスクヘッジ(リスク回避)の手段として、日経225オプション取引 を利用することができる。先物とは逆のポジションとなるように適切な権利行使価格・限月のオプションを先物と同数買い建てる(ロングの場合はプット買い、ショートの場合はコール買い)ことで、株価指数の暴落(ロングの場合)・暴騰(ショートの場合)による大きな差損発生のリスクを回避することが可能である。ただしこの場合は先物取引が成功した場合でも、得られる利益はオプション価額の変動(この場合は減少)分だけ少なくなる。

ヘッジ目的の場合はオプションを買い建てることが必要で、オプションを「売り建て」た場合はオプション取引によって得られる利益が一定額に限定されてしまうため、株価指数の暴落・暴騰に対するヘッジとはならない。

なお、オプション取引 は必ずしもヘッジ目的だけに限られるものではない。

大阪証券取引所では、2000年10月30日より上記CMEの開発した SPAN (The Standard Portfolio Analysis of Risk)という証拠金計算方法が採用されている。証券会社では、このSPANのうちの「プライス・スキャンレンジ」という指標を用いて、以下の計算式で必要最低証拠金を計算することが多い。

必要最低証拠金 = プライス・スキャンレンジ×1.2×(買い玉数-売り玉数)の絶対値-含み損益

プライス・スキャンレンジは、指数の終値の対前日の増減値(絶対値)のうち、(1)過去4週間のうち最も変動した値、(2)過去24週間のうち上位2番目に変動した値、のうちの大きい方を30の倍数に切り上げ、それを1,000倍したものである。プライス・スキャンレンジは大阪証券取引所から毎週発表される。

たとえば2007年の初めでは、(1)が234.16、(2)が408であったので、プライス・スキャンレンジは408を420に切り上げて千倍した42万円となる。この時、買玉1枚、売玉3枚を建てており、含み損が20万円とすると、一般的な証券会社の必要最低証拠金は、

42万×1.2×|1-3|-(-20万)=120万8千円

である。逆に含み益が20万円の場合は、80万8千円である。

含み損が拡大するなどして、値洗い後の必要最低証拠金が口座に入金されている金額を上回ってしまうと、「追証」(おいしょう)という追加の証拠金が必要になる。定められた期限(通常、翌営業日の前場終了)までに追証の入金がない場合は、全建玉が(通常、翌営業日の後場寄り付きで)強制決済される。

なお、オプションと組み合わせてポジションを組んでいる場合は、先物とオプションを合わせたポートフォリオ全体の持つリスクに応じて必要最低証拠金が計算されることが多い。その場合の計算は非常に複雑になるため、本稿では割愛する。

満期日には、満期となった日経225先物(および日経225オプション)は、「特別清算指数 」(Special Quotation、略してSQ)という値によって決済されるので、この満期日のことを「SQ日」と呼ぶことが多い(満期日自体を指して「SQ」と呼ぶことも多い)。或る限月の先物が市場で取引されるのは、その限月のSQ日の前日までで、それまでに反対売買して清算されなかった玉は、SQ日に自動的に決済される。

SQ値は、日経平均株価構成銘柄のSQ日の寄付値(よりつきね)を元に算出される。取引開始後にすぐに寄らない銘柄は、寄った時点での株価を元に計算する。従って、そのような場合はSQ値は日経平均株価の始値とは異なってくる。

なお、オプションでは限月は1ヶ月刻みになっているので、毎月の第2金曜日がSQである。そのため、先物とオプションが同時にSQとなる3・6・9・12月のSQを、特にメジャーSQと呼ぶことがある。